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成績向上の処方箋 【遡行学習】
今回は遡行学習について考えてみましょう。
現在の項目が「分からない」「出来ない」場合、その原因を探り、原因となっているところま遡って学習することを遡行学習と言う事を前回のブログでお伝えしました。
それでは遡行学習について考えるために、一次方程式を解く問題を考えてみましょう。
まず方程式①です。
問)次の一次方程式を解け。 2X=10 ・・・・・・①
答え) X=5
この問題は殆どの中学生が解けます。
では次の方程式②はどうでしょうか
問)次の一次方程式を解け。 1/2x=10 ・・・・②
①は殆どの生徒が解くことが出来ます。しかし②が解ける生徒は入塾時、だいたい 20%くらいです。①も②は数学的には全く同じで問題で、
aX=b
を解く問題です。
しかし、正答率はなぜそのように大幅に変わるのでしょうか。その原因について考えてみましょう。
②の方程式は次の様に式を展開して解きます。
1/2x=10 ・・・・A
X=10÷1/2 ・・・・B
=10×2 ・・・・C
=20
①が解けて②が解けない人は, ①が出来るのですから一次方程式解法のルールは分かっています。
しかし A , B ,C の変形が出来ないので ②の方程式が解けない事になります。
②を解くためには
『分数の割り算は逆数を取って分数の掛け算に直す。』
この数学の初歩的な計算ルールが分かっていないためAからBへの変形が出来ず、②の問題が解けないのです。
では、この計算の基本ルールを学ぶのはいつでしょうか・・・・。
これを学ぶのは小学校6年生です。
従ってこの場合は小学校6年生迄遡って再度分数の学習をしなければ、この生徒はこの問題を解くことが出来るようにはなりません。
これが遡行学習です。この例でも分かるように、②の方程式を解くためには6年生迄遡って遡行学習をする必要があるわけです。低迷している学力改善するために、遡行学習は必ず実施しなければならない学習過程です。
遡行学習をせず、現状を改善つまり方程式が解けるようにしようとしても、土台がぐらついている状態ですから、その上に何にかを積み上げる事は不可能に近いと言わざるを得ません。
つまり、方程式の解き方だけを教えても方程式を安定して解けるようにはならないと言う事です。
まずは土台を築いてその上に建物を建てるのが常道です。遡行学習は学力の土台作りと考える事が出来ます。
では遡行学習はどのように実施すればよいのでしょうか。
これは塾としては結構悩ましい問題です。遡行学習をする時間がないのです。
何故かというと、アクロス個別指導学院に通っていいる生徒を例にとると、通常中学生は週に二回通塾し、一週間当たり数学一回、英語一回それぞれ80分の個別指導の授業を受けています。
塾を運営する立場から言えば、80分一回/一週 の授業時間では学校で現在習っているところを補習、つまり学校の授業で「分からない」所を「分かるように」するので精一杯です。結論を言えば80分一回/一週の授業委に遡行学習が入り込んでくる余地はないと言う事になります。
読者の方も冷静に考えて頂ければこの点は分かって頂けると思います。
では、いつ遡行学習をすればよいのでしょうか。
アクロス個別指導学院ではレギュラー通塾日以外の平日塾に来てもらって特訓をします。
月曜日から金曜日まで五日間あり、そのうちレギュラー通塾日が二日あるので、特訓日は三日間と言う事になります。
塾に入って二週間はこの特訓は義務となっています。
理由は次のブログでも触れますが、ほとんどの新規入塾生は途中式の書き方が出来ていないからでです。途中式を正しく書けるようにするのも遡行学習です。
また、定期テストの成績が下がった生徒も同様にテスト後二週間特訓日を設けて遡行学習をします。定期テストの中で浮かび上がった出来ないところ分からない所を出来るだけ早く潰しておくためです。
この様に遡行学習は、それ以外の通塾日=特訓日を設けて遡行学習をする必要が必要であり、レギュラー授業でそれを完結することは不可能であることをしっかり記憶しておいてください。