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長時間勉強すれば成績は向上するか。
今回は勉強時間についてお話をしたいと思います。
「自宅で勉強している姿をあまり見ない」
「来週からテストなのに全く勉強している様子がない」
勉強している姿を見ないと保護者としてはイライラしたり不安になったります。
ここで勉強時間について少し考えてみたいと思います。
勉強時間とは『勉強している時間』の事です。『机に向かっている時間』と言い換えることが出来ます。これは皆さん異論がないところだと思います。
では、次に勉強時間と勉強量は一致するか、という問題について考えてみましょう。
結論から言えば勉強時間が増えても勉強量は一概に増えるとは限りません。
例えば机に向かっていても、頭の中では部活動やアイドルグループの事を考えていたのでは、勉強量は勉強時間に比例して増えません。いくら机に向かっていたとしても、勉強に集中していなければ勉強量は増えないですね。当然のことです。そこである一定の勉強時間の中でどれだけ学習に取り組んだかを表す係数=勉強効率を導入する必要があります。勉強効率は「実際に勉強した時間」を「机に向かった時間」で割った数字です。
つまり勉強量は以下の様な式であらわされます。
勉強量=勉強時間×時間効率
勉強量が増えれば成績は向上するかと言えば、必ずしもそうではないと思います。しかし、勉強量は成績向上の一つの要素であることは間違いありません。従って、我が子の成績向上に必要なのは勉強時間ではなく勉強量であると言う事は出来そうです。
10月7日のブログで「小学生・中学生にとって、家庭内で最も勉強に適した場所はリビング・ダイニングテーブルである」と書きました。このブログを読んで頂くと分かりますが実は子供専用の勉強部屋の勉強効率は非常に悪いのです。
何故そうなるかをもう一度考えてみましょう。子どもが勉強部屋に入ってしまうと親の目は届きません。例えば部活やアイドルなどに意識が行ってしまい、勉強部屋での時間をすべて瞑想の世界にハマってしまってしまう事もあり得ます。この場合実際には勉強をしていませんから勉強効率=0です。
勉強効率=0を上記の勉強量の式に入れると、勉強量=0になってしまいます。つまり、いくら机に向かって「見かけの勉強時間」を確保しても、勉強量は増えません。
以前中学生の保護者の方から「長時間勉強しているのに成績が全く伸びない、それどころか下がってしまた。何故か」というご質問を頂いた事があります。
保護者の方によくよく話を聞いていみると、その生徒は睡眠時間を削って深夜2時頃迄毎日勉強していました。頑張って勉強時間を確保しているのは事実です。しかし、心も体もへとへとの状態です。これでは成績が上がるはずもありません。それどころか健康を害する危険すらあります。
脳も体も健康を維持して初めて気のするものです。この生徒が成績が下がるのは当然の結果だったのです。
この生徒と保護者の方に11時には必ず就寝するようアドバイスをしたところ、成績は上昇し始めました。勉強効率が上がったからに他なりません。
ここで、エピソードを一つお伝えします。
ジャイアンツでピッチャーとして活躍した桑田真澄選手の話です。
桑田選手は清原選手とKKコンビとしてPL高校時代から活躍した有名選手であることは皆さんご存知だと思います。
その桑田選手がこんなことを書いています。
「失敗、敗戦の原因を練習量に求めるのは間違いです。PLでは試合に負けると監督の指示で、試合の後、罰として、ピッチャーは何百球も投げさせられました。そんなことをしても効果がない上、肩にも負担がかかり、選手生命を縮めてしまします。自分は将来メジャーで野球がしたかったので、この練習から逃れるために合宿所を逃げ回っていました。」
これを読んで一瞬虚を突かれて呆然とした記憶があります。練習量を誇るPL学園のエース桑田選手は練習の虫だと思っていたからです。桑田選手の引用部分の練習量を勉強時間に置き換えて読んで頂ければこのブログに対する絶妙の示唆になっています。
これを読んで皆さんどのようにお感じになりましたか。
さて今回のブログの結論としては次のようなことが導き出せたと思います。
成績を上げるためには、勉強時間の確保だけではだめだと言う事。
勉強効率を上げる工夫をしなければ、学力を向上させるための勉強量は確保出来ないと言う事。
是非参考にして下さい。