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中高生の読解力ピンチ?
11月7日の朝日新聞に「中高生 読解力ピンチ!?」という記事が掲載されました。これは国立情報学研究所の新井紀子教授が2016年4月に中・高校生を対象に実施した「リーディングスキルテスト」という名称のテストの結果をまとめたものです。全国で2万4千人が受験しました。教科書、新聞の記事などの文章を読んでもらい、意味や構造を理解できるか調べる内容です。問題は、コンピューターで受験者ごとに無作為に出題しています。
さてその内容です。
設問A)中学校の教科書にある「幕府は1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた」という文と「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた」とが同じ意味か尋ねた。大名と幕府が入れ替わっているため正解は「異なる」ですが、中学生の42%、高校生の27%が誤って「同じだ」と答えた。
設問B)これも中学校の教科書にある、メジャーリーグ選手の出身国の内訳についての文章を読み、今度はグラフを見て回答する問題。
問題には「メジャーリーグ選手のうち28%はアメリカ合衆国以外の出身」とあり、四つのグラフから「72%がアメリカ合衆国の出身」を選ばせる問題で、正解は中学生が12%、高校生が28%という結果。
このテストを実施した新井教授は「中学卒業までに、中学校の教科書を読めるようにする事が教育の最重要課題」と話しています。
設問A)では「幕府」と「大名」の関係が入れ替わった文章を二つ読ませてその違いを認識する問題。これが分からないと教科書レベルの文章は読んでも完全に理解できません。不正解だった中学生42%と高校生28%は社会を学ぶ以前の読解力でつまづいていることになります。
塾を運営している立場から言うと、設問A)で不正解だった生徒は都立入試の国語の問題文を読んでも、おそらくほとんど意味が取れないと思います。何故なら都立入試の問題文の方が使われている語彙が豊富で難度が高く、難しい文章だからです。
設問B)については「アメリカ合衆国以外の出身」と「アメリカ合衆国出身」の違いを認識して、それを表現した円グラフを選択することが出来るかどうかを問う問題。
グラフから読み取るという動作が入っただけで正答数は中学生が12%、高校生が28%とガタ落ちになっています。
全体の12%の人の偏差値は大体偏差値62くらい、28%の人は大体偏差値57くらい。この問題が正解できたのは偏差値62以上の中学生、と偏差値57くらいの高校生と言う事になります。
最近の都立入試の社会科の問題は設問B)のような問題の傾向になっています。
実は昨年度この傾向が強まったのですが、偏差値55くらいの高校を受験した生徒が社会科で20点台を取ってしまいこれで不合格となってしまいました。社会科の知識以前の読解力でつまづいしまったと言わざるをえません。
ここまで述べてきたことで、都立入試に成功する(都立以外でも同様です。)一つのカギが見えてきたといえるのではないでしょうか。
そのカギとは一つは『読解力の養成』です。
読解力が十分ではない状態で知識を詰め込んでも入試などのテストでは正解できません。
「鎌倉幕府の成立は何年ですか?」というタイプの質問はイイクニ(1192)造ろう鎌倉幕府と覚えていれば答えられます。しかし、最近は入試問題から、このように年号等を直接問う様な設問は全く姿を消しています。
ほとんどの問題が設問B)のような傾向の問題になってきています。
最近よく耳にする言葉に「リテラシー」があります。
OECDが実施しているPISA型テストで日本人は「リテラシー」が低いと指摘されて国を挙げての大騒ぎになったのは記憶に新しいところです。またその影響を入学試験も少なからず受けており、設問B)のような問題が出題されるようになったと考えることが出来ます。
リテラシーとは「読み書きができる、教養のある」という原義が転じて「情報や知識の活用能力」を表す言葉として使われています。
問題B)はまさにこのリテラシー「情報や知識の活用能力」を問う問題です。
ここでもう一つのカギが見えてきていますそれはこの「情報や知識の活用能力」と断言できます。
この二つの能力を高めることが都立高校入試を含む全ての入学試験、そして資格試験を突破する鍵であると言えます。
さてこの二つの能力『読解力の養成』、「情報や知識の活用能力」はどのように伸ばせばよいのでしょうか。
次回以降のブログでこの点をお伝えしたいと思います。