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読書と学力の関係にいて

2018/04/18
成績の上がる処方箋

 今回は読書と学力の関係についてです。「読書をすると学力は上がるのですか」や「読解力を伸ばすため読書は必要ですか」という質問を良く受けます。読者の皆さんも同様の疑問をお持ちだと思います。正直に申し上げて、読書と学力は密接に関係します。塾を運営するものとしこれはこれは断言できます。

 もしこの点に就いて詳しく知りたい方は「前に進むための読書論 山口 真由著 光文社新書」をご覧ください。山口さんは東大法学部を首席で卒業した弁護士さんで、この本の中で「自身の読書体験」や「読書と学力の関係」についても述べておられます。またご自身の読書体験からお勧めの100冊も掲載されており大変参考になります。その中には児童書やファンタジーも含まれており、お子様用の本を購入する際の参考になります。

 さて、本題に戻ります。塾運営の中で、たくさん生徒を見てきて、読書をする生徒の学力は経験的に高い傾向にあります。以前一カ月に10冊以上本を読む女子生徒が在籍していたことがありました。中学、高校を通じてこの生徒の国語の偏差値は70近くありました。読書をすることで、学力が上がった可能性は高いと思います。では読書をすると何故学力が上がるのでしょうか。
 ここで読者の方にお考えいただきたいのは、我々が受ける試験は全て文字を経由して行われ、学力の評価を受けることになっているということです。試験において、脳は文字を読んで問題を理解し、答えを考え、文字でそれを表す、というプロセスをたどります。つまり文字を読んだり書いたりする能力が高い方が試験では有利だということは間違いありません。
 そして文字を読んだり書いたりする能力を鍛える最も有効で効率の良い手段が読書であることは異論はないところでしょう。読書は学力を上げる大きな要因であると言って間違いありません。

 数学以外の国語、英語、理科、社会の都立入試についてみると、問題文の文字量はかなりの量だと言えます。
関心のある方は下記の東京都のHPに昨年の都立入試の問題が掲載されていますのでご覧ください。

 http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/admission/high_school/ability_test/

 一教科50分という限られた時間内にこの文字量を読み解くためにはかなりの文字を読むスピートが求められます。
当然早く読むだけではだめで、書いてある内容を理解しなくてはなりません。
理科、社会科のテストにおいても文字を理解する言語能力が求められるわけです。英語と国語に言語能力が必要であることは当たり前です。つまり入学試験で求められるまず第一の能力は言語能力と言う事になります。

 言語能力を伸ばすことが出来る最も良い訓練方法は「読書」であることに異論はないはずです。読書をして言語能力を上げれば、その結果テストの成績が向上するのは当然のことです。これまで読者の皆様も読書と学力の関係を漠然とご理解されていたと思います。この機会に読書経験が学力に直結すること再認識して下さい。

 それではどんな本をどれだけ読めばよいのでしょうか。

 前述の都立高校入学試験の国語のテストでは漢字10題、論説文1問、小説1問、散文(散文が古文と漢文に関するもの)1問、となっています。この中で得点しにくいのが論説文です。この論説文の傾向を見ると、かなり難しい文章が使われているのは事実です。哲学者であったり、心理学者であったり、建築家であったり、その道の専門家が大人向けに書いた文章が問題文に使われています。文章の難易度としては新聞よりも難しく、中には少々難解なものもあります。このような文章の読解力を身に付けるにはどうすればよいか。
 私はすべての読解力は小説を読むことで鍛えられると考えています。文章の根幹となる主語と述語の関係、形容詞、副詞などの修飾語の使い方、接続しや、助詞の使い方も小説から学ぶ事が出来ます。読書の達人達が書いた読書の案内本には論説文より小説を読むほうが時間が掛かると書いてあります。それは何故でしょうか。小説の場合は一つの場面、場面が集まって話の流れを作っていきます。この流れがストーリーです。一旦その場面の記述を読みそこなうとストーリーが全く分からなくなってしま氏います。そこで読者は行きつ戻りつしながらストーリーを理解しようとします。だから時間が掛かるわけです。では内容の難し論説文は何故小説よりも早く読めるのでしょうか。それは結論を読めば理解できるからです。結論がどこに掛かれているかは皆さんご存知だと思います。日本語の場合は最後の段落です。90%間違いありません。それ以外はどこにあるかというと文頭です。これにもない場合は後ろから二段落目です。これでほぼ100%です。そして、「しかし」が出てきたらその後ろはほぼ結論に近いことが書いてあります。これらのルールを知っているとその文章に書いてある内容はかなり短時間につかむことが出来ます。従って論説文の方が早く読めるのです。
 また、読んで楽しいのは断然小説です。自分が体験したことのない人生が体験できるのですから。その楽しさに引き込まれながら本を読んでいるうち、読解力は自然に身についてきます。
 又専門家の書いたすぐれた随筆もお勧めします。ジャーナリストや科学者が一般の読者向けに書いた良著はたくさんあります。それを読むことで専門分野の知識や考え方もみにつき当然読解力も高まってきます。

 是非良質の書物に触れて読解力を高めてください。試験に役立つだけでなく、今後の皆さんの人生にもきっと役立つはずです。

中学生向きの小説、随筆の良著をご紹介しておきます。どれも、大人が読んでも子供が読んでも大変面白いですよ。是非親子で読んだください。

【小説】

 西の魔女が死んだ   梨木 果歩

 幸福な食卓      瀬尾 まいこ

 しずかな日々     椰月 美智子

 4TEEN             石田 衣良

 穴          ルイス=サッカー

【随筆】

世界をこんなふうにみてごらん  日高 敏隆

日本語の表と裏         森本 哲郎