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試験で結果を出す「記憶術」①
今回は「記憶術」の話です。
勉強とは理解することであり「暗記すること」ではない。と言う考え方があります。
これも間違いではありません。しかし、丸暗記しても問題を解く事はなかなかできません。特に理数に関してはそう言えると思います
よくあるのは理科の問題の解法を丸暗記して試験に臨み、類題にもかかわらず撃沈と言うケースです。
理科や数学などは理論、定理、理屈をしっかり習得して試験に臨まないと少しひねられたらもう解けないと言う状態に陥ってしまいます。
しかし、理科に暗記がないかと言うとそうではないですね。
例えば、BTB溶液の酸とアルカリに対する反応色などは覚えていないと全く解けない問題は数多くあります。
BTB溶液は次の様に変化します。
酸 中性 アルカリ
黄色 緑色 青色
私は塾で理科を教えています。だから知っていて当然です。
しかし、自慢する気はないですがどれだけブランクが空いてもこのBTB溶液の色の変化は絶対に間違いません。
つまり絶対忘れないのです。
何故かと言うと語呂合わせで覚えているからです。つまらない語呂合わせほど覚えているものです。
それは何かというと
ビーティービーさん君ドアホ と覚えているからです。
つまり BTB (ビーティービー) 酸(さん) 黄(き) 緑(み)ど 青(あ)ほ と言う語呂合わせです。
つまらない語呂合わせですね。しかし、私の中では完璧に定着しています。
これを覚えているいるので BTB溶液の問題を解くときに一年以上ブランクが空いても困ったことはほとんどありません。
又、以前受験生だったころ、(かなり以前ですが)数学の講師からこんなことを言われて驚いた事があります。
『「√2」 「√3」 「√5」 これを知っている人は数学の偏差値=50を超えている。「√7」を知っている人は偏差値=60を超えている』とその講師は言いました。
数学は考える学問であるはずなのに「記憶すること」は必要なんだと驚いた記憶があります。
因みに √7=2.64575 です。語呂合わせは 【菜に虫いない】です。これは手元にある東京書籍の中学校の数学の教科書にも載っています。
「√2」 「√3」 「√5」と合わせて覚えておいて下さい。
ここまで理科・数学の暗記の重要性について述べました。
社会、(地理、歴史、公民)では覚える事は理科・数学の比ではありません。これは読者の皆さんもお分かりだと思ます。
さて質問ですが 日本史で「時代名」(鎌倉時代、室町時代・・・・明治時代等)を全部言えない人はほとんどいないと思いますが、中国の王朝名を順番に言えますか。
これも私は言えます。
これは替え歌で覚えているからです。次のURLを確認してください。アルプス一万尺の替え歌が聴けます。
https://www.youtube.com/watch?v=lic-tbKguZY
殷 周 春秋 戦国 秦 前漢 新 後漢
三国 晋 南北朝 隋 唐 五代
宋 元 民 清 中華民国 中華人民共和国
ユーチューブの中で塾の講師さんが歌っていますので覚えてみてください。
王朝はこれで全部ではないですが足りないところ補う様に覚えれば覚えやすく正確に覚えられます。
このアルプスで覚えた三国とは魏、呉、蜀、です。骨格を覚えてしまえば今度はこの三国が魏、呉、蜀とおぼえればおぼえやすいはずです。
また、教科書(=手元にある東京書籍)には以下の様に書かれています。
【国々の誕生】の項目に
『倭には100余りの国があり、なかには、楽浪郡をつうじて漢に使いを送るものもあったと記されています。・・・・・倭の奴国の王が後漢に使いを送り皇帝から金印を授けられたと書かれています。江戸時代に志賀の島で発見された「漢倭奴国王(かんのわのなのこくおう)」の金印はその時のものと考えられています。』
【邪馬台国の女王】の項目に
『(現在の日本には)倭がありました。倭には邪馬台国と言う国があり、魏に朝貢しました。……邪馬台国の女王卑弥呼が、倭の30余りの小さな国を従えていたこと、卑弥呼が魏に使いを送り、皇帝から「親魏倭王」という称号と金印を授けられ・・・・』
教科書の記述を整理してみましょう
【国々の誕生】 倭の奴国 が 後漢 に使いを送り 金印 を授けられた。
【邪馬台国の女王】 邪馬台国の女王卑弥呼 が 魏 に使いを送り 金印 を授けられた。
この二つの記述は、金印を授かったことが同じで、非常によく似ています。
ここでテストに狙われるのはまず順序です。
例えば 『邪馬台国の女王卑弥呼 が金印を授かったのち倭の奴国王 が金印を授かった』正か誤か と言う問題。
教科書を読んだ後すぐならこの順序を正しく覚えていることは出来ますが試験の場でこれを試されたとき即座に答えるのは難しいものです。
これが明確に答えられない状態は知識が「定着していない」と言う事が出来ます。
ここで注目すべきは使者を送った中国王朝の 後漢 と 魏 です。
アルプス一万尺で覚えた中国王朝を見て頂くと
後漢の次が三国(つまり魏)です。従って後漢に使いを送った倭の奴国が先と言う事になり、魏に使者を送った邪馬台国の女王卑弥呼 が後と言う事になります。
従って中国王朝の順番が言えれば=定着していればこれは簡単に答えられます。
この様に暗記するための軸をまず頭の中に作る必要があります。この軸とは常に試験で使える基本的な事項と言い換える事も出来ます。これが試験で得点でいる暗記法です。
先の例では、BTB溶液の色だったり、中国王朝の名前と順序であったりと言う事です。
この軸を作らずに丸暗記すると折角覚えたのに忘れてしまうと言う現象になってしまいます。
このことをしっかり理解して覚えておいてください。
また、数学は論理の学問で考える力が問われるから暗記は必要ないと考えられがちですが、数学の得意な人ほど解き方を暗記しています。
世の中の歴史を変えるようなブレイクスルー(発明、発見)を例にとって説明をしてみたいと思います。
過去の偉大な発明、発見は過去の発明発見の組み換えや組み合わせで出来ていると言う事実をご存知でしょうか。
例えば、皆さん日常お使いの iphone (アイフォン)のタッチパネルはアップルの発明ではありません。
アメリカのElographics、現在のElo Touch Solutionsという会社の発明です。
この発明は当時完全に埋もれていました。それを日本のキャノンがワープロに一時使用していたことがあったのです。ジョブスはそれを見て啓示をうけたと言われています。
又、アイフォンの本体の金属部分は日本の冶金(やきんと読みます=金属合金を創る技術)の技術が一役買って、日本で生産されています。
つまり、スティーブジョブスはとんでもないブレイクスルーを成し遂げたのですが、その中身はすべてオリジナルと言うわけではないのです。
ある意味 iphone は他の誰かが発明した技術の寄せ集めです。
数学もこれと同様、問題を解くにあたってこれまでにない全くオリジナルな解法を築き上げて解くわけではありません。先人たちが築き上げた解法を使い、それぞれの問題に応じて、解法を組み合わせて正解に少しずつ近づいていくわけです。
その意味では数学も暗記科目と言う事が出来ます。ジョブスの様に先人が開発した解法をまず学習して、それを定着つまり暗記する事が、大切な試験の数学の問題で正解にたどり着くとにつながるわけです。従って数学も「記憶=暗記」が問われる科目と言う事になる分けです。
どうでしょう、勉強の世界の暗記の大切さがお分かりいただけたでしょうか。
しかし、むやみやたらに丸暗記をしようとしても覚えられるものではありません。先に述べた様に頭の中にまず軸を作る事が大切で、それは基本事項の暗記から始まると言う事です。
次回のブログでは丸暗記ではない「暗記法」についてお伝えしていきます。