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試験で結果を出す「記憶術」⑤
さて今回で『試験で結果を出す「記憶術」』のシリーズは最後です。
まずはおさらいから。
1st ステップ 暗記する『情報』を絞る。
2nd ステップ 絞り込んだ『情報』に優先順位をつけ、暗記しやすい形に整理、加工する。
3rd ステップ 整理した情報に触れる回数を増やす。
ここまで、1st ステップ 、 2nd ステップ を順次解説をしてきました。
この2つのステップで最も大切だったことは丸暗記をしないと言う事です。
暗記する『情報』を絞り込んで、優先順位を付け、暗記しやすい形に整理して加工する。これがここまでの内容のエッセンスです。
しっかり覚えておいてください。
1st ステップ 、 2nd ステップが頭に入っていない人はもう一度ブログ①~④迄おさらいをしてください。
さて今回は <3rd ステップ 整理した情報に触れる回数を増やす>です。
これまでに暗記する対象は優先順位をつけて暗記しやすい形に整理して加工してあるはずです。
この整理、加工した情報に触れる回数を増やしてい行かないと意味がありません。
<情報に触れる間隔>
皆さんも下図のエビングハウスの忘却曲線はご存知だと思います。
着目して頂きたいのは最初の一日で記憶は67%失われるという点です。
一般に効率的な繰返しは 一日後、一週間後、一か月後が最適と言われています。
この中で最も大切な繰り返し時期は一日後です。この時点で長期記憶として定着しているのは33%です。残りの67%は長期記憶になれなかった記憶です。しかし、これは脳から全て抜け落ちているわけではなく、まだ潜在意識のどこかに消去されずに残されている記憶でもあるのです。
この状態で復習をすれば、潜在意識の中を漂っている67%の記憶はちょっとした刺激で簡単に長期記憶なる事が出来ると考えられます。しかし長時間放置すれば完全にこの潜在意識のなかの記憶は消去されてしまいます。一日目ならまだ大丈夫です。潜在意識のなかの記憶もまだ新鮮な状態です。
これが一日後に復習をするのはコスパが非常に良いと言える理由です。
以上の理由から覚えた翌日の復習を心がける様にして下さい。これだけで記憶する事は得意になるはずです。
<情報に触れる方法>
ここでは情報に触れる方法について解説をしておきます。
一番おすすめは声に出す方法です。
一つは音読で、もう一つは他人に解説する方法です。
どちらも音声を使っています。音声を使うと記憶に残りやすいと言われています。
日本は漢字文化なので漢字の筆順や「とめ」「はね」を覚えるために手で書いて手で覚える事が最良の方法として薦められる事が多いのですが、記憶を定着する方法は声に出すのが良いと言うのが現在では通説です。
覚えた内容を友達同士で説明し合うなどはかなり効果が高い方法です。是非お試しください。
中学生ではお母さんに聞いてもらうのも効果があると思います。
もう一つの有効な情報に触れる方法は「脳の中で反復」をする事です。
歩きながら、風呂に入りながら、等のスキマ時間に頭の中で情報を反復するのです。
記憶力が良いと言われている人はこの方法を使って記憶を維持、定着していると言われています。
ちょっと疲れそうですが、試してみてください。
<問題集を活用する>
記憶の定着には問題集は欠かせません。問題集を解いて間違えたところを再度学習して定着させると言うプロセスは記憶の定着に繋がります。しかし、ここで頭に入れて欲しいのは問題集を何冊も解く必要はないと言う事です。一冊の問題集を根気よく何回も解く事で記憶も理解も深まります。これを絶対に忘れない様にして下さい。
そしてもう一つ覚えておいて欲しいのは間違えた問題に印を付ける事と問題を解いた日付を書き込む事です。
以前講師として働いてくれていた東大院生に「東大に合格出来る参考書を見せて欲しいと頼んだ事がありました」
彼が持ってきてくれたのは一般的なみんなが使っている基本問題集でした。
しかし、なかを見た時、流石と感じました。
全ての問題番号の隣に自分が演習をした日付と○❌が記入してあったのです。しかも少ないところで4回。
東大に合格出来る人は確かに俗にいう頭のいい人です。つまり記憶力のいい人。しかし、この様に地道な努力を怠りなく成し遂げられる人でもあるのです。覚えようという努力なしに記憶は定着しない事を再認識しましょう。
それから、問題集の話が出たので、もう一つの問題集の活用法についてお伝えをします。
それは教科書を覚える前に、まず最初に問題集から先に解きに掛かると言うものです。
問題集にはテストに良く出る頻出事項、頻出語句が集められているはずです。とりわけ長年ロングセラーになっている問題集はこの頻出事項、語句の宝庫と言えます。以前お伝えした 80:20の法則から言えばテストに出る80%は全体の記憶すべき事項の20%から出題されていると言えるわけです。この20%が集約されているのが長年ロングセラーになっている問題集と言えなくもありません。
一般に認知されたロングセラーの問題集をまず徹底的に読み込んでその後教科書に当たるのも一つの方法です。
理系、文系に関わらずこの方法は使えます。
問題集を解くだけではなく、解説を徹底的に読み込む事も絶対に忘れない様にして下さい。
もう一つ問題集を活用した事例です。
一昨年、早稲田に受かった高校三年生がいました。
この生徒がアクロス個別指導学院に入塾した時の偏差値は45ありませんでした。中学一年生の時です。
高校受験の時も都立の中堅は少しきついので、保護者と相談して中堅私立高校の真ん中のクラスに入学しました。それから彼は逆転合格を果たしたわけです。
勝因は高校三年の夏休みから毎日10時間、早稲田の過去問(赤本)を10回以上解いた事です。
彼にとってこれはとても効果的な方法だったと言えます。彼だけでしょうか。私はこれはどの受験生にも通用すると思っています。
過去問を選択するか、東大院生のように基本問題集を選択するかは自由であり、乱暴な言い方をすればどちらでも正解です。
ポイントは一冊を完璧にやりきる事と解説を読み込む事です。
これも一つの暗記術です。しっかり暗記しておいて下さいね。
取りあえず記憶術の話は以上です。