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都立高校入試英語スピーキングテストPart1

2022/03/27
入試情報

都立高校の入学試験にスピーキングテストが今年から導入されます。

ある意味事件です。

敵を知り己を知れば百戦危うからず 

と「孫氏の兵法」にも記述がある様ですので、まずは「敵」=試験 の概要を見ていきましょう。

試験方法は以下のサイトにアクセスして確認して下さい。

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/press/press_release/2021/files/release20210924_03/bessi.pdf

 

【試験の概要】

 〇 日程   11月の第四土曜日から12月の第二日曜までの土曜日又は日曜日、

 〇 試験会場  定められた場所に行って行う。

 〇 試験方法  以下の問題の解答をマイクを通してパソコンに吹き込み、音声データーとして残す方法。試験時間は約6分ぐらいが目安。

 〇 採点方法  次に採点担当者がそのパソコンに吹き込まれた音声を聞いて基準に従い採点をする。満点は20点満点とする。

 〇 入試への加点について このリスニングテストの得点は調査書の点数への加算となる。これまで調査書の点数は300点満点であったところが 320点満点となる。

 

以下に教育委員会が作成した模擬問題を添付しておきますので参照してください。

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/press/press_release/2022/files/release20220217_02/bessi.pdf

 

上記URLにアクセスしてから以下の解説を読んでください。

 

【問題の解説】

問題は AからDまで 全部で4問あります。

一つずつ分析をしていきます。

 

問題A: 問題Aには【No1】【No2】の2つがあります。

 それぞれ40字前後の英文がありこれを読んで録音します。
 東京都教育委員会が作った問題の英文を以下に貼り付けておきますので参照してください。

【No1】On my winter vacation, I went to a mountain with my family. Do you like cold weather? I don’t like it very much, so I didn’t really want to go. But there were many fun things to do. I want to go there again.

 

【No2】Good morning. Yesterday, some students from the art class made pictures for a school event. Do you want to see what they made? You can visit the art room this afternoon to look at their pictures.

 

 ここに掲載した、問題A【No1】【No2】は学校の勉強をしていればほとんどの生徒は読めるはずですので、問題はないはずです。しかし、音読が苦手と言う人は再度教科書の英文を音読する練習をしてください。そうすれば得点できるはずです。

 

問題B 問題Bは絵を見て質問に答える問題です。【No1】【No2】【No3】【No4】の4つの問いがあります。

   【No1】は  What do we need to take to the event?  に対して 解答例) I take water and cap. 

   【No2】は  What are we going to do in the afternoon? に対して 解答例)We are going to swim and play game. 

   【No3】は  Which one do you like the best?  に対して 解答例) I like car best.  

   【No4】は  Oh, we also have a special sale today!  解答例)I want to have a pencil. How much is it.  

 質問の内容をしっかり理解して答えれば中学三年生にとってそれほど難しくはないはずです。また答える前に10秒考える時間が与えられているので、回答しやすいはずです。

対策としてはwhat ,which,when,where,who などの疑問詞で作られた疑問文に慣れておく事、またその答え方を練習しておけばそれほど難しい問題とはないはずです。英検で言えば4級までの学習範囲です。中学2年までの内容が分かっていれば解答できます。

 

問題C ①➁➂➃ のイラストを見てストリーを考えて、録音する問題。(模擬問題を参照してください。)

 ① 彼女はピアノの練習をしたいと思った。  解答例)She was going to play the piano.

 ➁ 彼女は弾きたい曲の楽譜を棚から探した。 解答例) So ,she was looking for a score she wanted to play.

 ➂ 探しているうちに本が落ちてきて、彼女の頭に当たる。解答例)The score dropped  from the shelf.  Then it hit her head.

 ④ それが彼女が探している楽譜だった。 解答例) That was really the score she was looking for.

この問題Cは中学生にとってかなり難しいです。正解に至るための手順を以下に考えてみましょう。

手順1 絵を見てストーリを日本語で考える。(英語で考えられればいいですが、ネイティブではないのでそれは無理)

手順2 そのストーリを英作する。

手順3 頭の中に作った英文を英語の言葉として発話する。

この問題の持ち時間は以下です。

準備時間30秒/解答時間40秒  

これもかなり厳しい。

30秒で準備するという事は4問あるので1問7秒から8秒ぐらいしか時間をかけられないという事になります。

解答時間も40秒なので 1問10秒。

求められるのは問題の絵を見て瞬時に英作して英語が発話出来る能力です。

中学生に限らず、日本人はこれが一番苦手です。

又、この文章の英作文をするにあたりキーになる単語 楽譜= score が出てこないとこの文章を英作するのがとても難しくなってしまいます。

さて何パーセントぐらいの中学3年生が 楽譜= score を知っているでしょうか。

その意味では難問です。

対策としてはしっかりこのタイプの勉強をするのは当然ですが、全部正解を目指さず最初の簡単なところの「彼女はピアノの練習をしたいと思った」を正しく英作して英語で発話して、『部分点狙い』ではないかと思います。

また➁になると score を文章に埋め込まないと表現できません。しかし、 score を 取り合えず book に置き換えて➁を作ってみれば部分点をとれると思います。

完璧を目指さず『部分点狙い』をする事も対策になります。

 

問題D

海外姉妹校の生徒であるジョンから、ビデオレターで質問が届きました。そこで、あなたは、英語で回答を録音し て送ることにしました。ビデオレターの音声を聞き、あなたの意見を述べ、そう考える理由を詳しく話してください。日 本のことを紹介する場合は、知らない人にも伝わるように説明してください。 (準備時間1分/解答時間40秒)

 

【英語音声のみ・画面表示なし】

Hello. I heard on TV that students in Japan clean their own schools. At my school, the school workers do that. I’d like to hear your opinion on this. Who should clean the school, and why do you think so? I’m waiting to hear from you!

<和訳>私はテレビで日本の生徒が自分で学校の掃除をしていると聞きました。私の学校では学校の作業員の方がそれをします。これについてのあなたの意見を聞きたいと思います。誰が学校を掃除すべきであり、何故その様に考えるのか。私はあなたからの意見をお待ちします。

 

上記が問題Dの問題です。和訳を付けておきました。

この問題の英文は音声のみが流れ、英文は表示されません。しかし、リスニングの練習をしていれば50%から70%の生徒は聞き取れると思います。英検3級レベルのリスニング能力で十分です。

問題は問題文にある『あなたの意見を述べ、そう考える理由を詳しく話してください。』の指示です。

問題文に従うと 「生徒が学校の掃除をする利点を述べないといけません」

例えば 「生徒が学校の掃除をすることで、掃除をする事の大切さを学ぶことが出来る」

この様に回答を瞬時に考え英作をしてそれを発話しなければいけません。

かなりレベルが高い問題です。

対策は都立一般入試の英作文と同じです。

文章を簡単な英文で書いて、つないでいく練習をする事です。

当然ここも部分点狙いになります。

また英作の前に日本語での作文能力が問われます。

常に日本語で文章を書く練習をしてください。

自分の意見が日本語でしっかり書けない様では英作はまず100%書けません。

日本語と英語、作文と英作文、 お互いに表と裏の関係です。

どちらか片一方の能力だけが高い事はまずないです。学習の過程で両方の能力が同時に高くなります。

この点も理解をしてください。

<総論>

 このスピーキングテストの満点は20点です。

 問題は 問題A, 問題B, 問題C, 問題D,の計4問出題されまれす。

 大雑把に1問5点と考えられます。

 従って問題A、問題B、をある程度確実に回答すればほぼ10点。

 多分この10点+1,2点が平均点だと思います。

 この得点に問題C,問題Dの部分点が加わり15点取れれば合格点だと思います。

 満点を目指さず15点狙いが正解です。

 つまりこのスピーキングテストの対策に多くの時間をさくよりは、その時間を他の得点が期待できる分野に振り向けたほうが結果として、入試合格力を身に付ける事が出来ると思います。

 あまり力を入れて対策をする必要はありません。

 それより英文法、英文読解力をまず身に付けましょう。

 スピーキングはその後で身に付ける事が出来ます。

 外国語としての英語について、学習者が身に付ける能力は 4技能でい言えば reading   listening  writing  speaking の順番です。(しかしネイティブは 4技能で言えば listesning  speakinng reading  writing  の順でです。日本語ネイティブである我々自身の日本語の学びを考えてみれば簡単に分かります。赤ちゃんから中学生までの言葉の発達過程はまさに 聞く、話す、読む、書く、 です。これがネイティブの4技能の発達順序です。)

 英語ネイティブと外国語としての英語の学び方は、4技能の順序が違うのです。

 この点も理解してください。